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研究室紹介

本研究室は、県立広島大学の教授である栢下淳先生の研究室です。「臨床の先生方の役に立つ研究がしたい、患者様に安全で美味しい嚥下調整食を届けたい」という先生の思いに共感した学生が集まっています。社会人大学院生が多いため、普段研究室にいる学生は多くはないですが、日々実験を繰り返し、現場の役に立ちたいという思いで研究に励んでいます。

主に、嚥下機能に障害のある方に提供する食事について、様々な機械を使用して物性を測定しています。研究室には、粘度計やクリープメータなどの物性測定機器の他、スチームコンベクションオーブンやブラストチラー、真空包装器といった病院の給食施設と同じ調理機器を取りそろえており、現場の調理の再現を行うことも可能です。得られた実験結果は、データ検討会で意見を交換し、今後の研究の方向性について考えます。また、定期的に行う論文抄読会は、新しい知見を共有し、議論しあう場となっています。

栢下先生は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食特別委員として、「嚥下調整食分類2013」の作成に携わった他、IDDSI(International Dysphagia Diet Standardisation initiative)の委員、農林水産省のスマイルケア食選び方検討ワーキング委員、消費者庁の「特別用途食品(えん下困難者用食品)の規格の分析方法について」の改正に係る調査研究事業の委員長など、多くの嚥下調整食の基準策定に関わっておられます。栢下先生はほとんど休むことなく国内外を飛び回り、最新情報の講演をされています。(講演情報はこちら

私は学部4年生の時に栢下先生の研究室に入り、「自分の出したデータがすぐに現場の役に立つ研究」の魅力にすっかりとりつかれ、修士・博士後期課程を経て、現在では県立広島大学の健康科学科の助教として、栢下先生のご指導の下、日々研究・教育に励んでいます。毎年入ってくる優秀な学生たちに刺激をもらいながら、より良い研究となるよう指導を行っています。
本研究室の研究成果が、臨床でご活躍されている先生方、そして患者様のお役にたてることを祈り、私たちは研究を続けていきます。

助教 山縣 誉志江

    

 

研究内容

摂食嚥下障害患者に適した食品物性について

本研究室では、嚥下調整食に関するさまざまな研究を行っています。研究内容を主な発表論文とともにご紹介します。

■嚥下調整食の基準作成

本研究室では、日本や世界の嚥下調整食の基準作成に関わる研究を続けています。

①嚥下食ピラミッド

聖隷三方原病院で提供されている食事基準の各段階の物性範囲の検討を行いました。現在多くの病院でこの基準の「レベル」を基に食事が提供されています。

・坂井真奈美,江頭文江,金谷節子,栢下淳:臨床的成果のある段階的嚥下食に関する食品物性比較, 日摂食嚥下リハ会誌,10,239-248,2006.
・坂井真奈美,江頭文江,金谷節子,栢下淳:嚥下食の段階的な物性評価について,日本病態栄養学会誌,10, 269-279,2007.

②特別用途食品えん下困難者用食品許可基準(消費者庁)

市販食品が「嚥下障害者に適した」とうたうことを許可するための基準です。本研究室の研究結果により、現在の許可基準の物性範囲が定められました。今後、物性のみでなく、離水率も評価基準とすることが課題です。また、「とろみ調整食品の規格」についても本研究室で検討を行いました。

・山縣誉志江,藤谷順子,柴本勇,河原和枝,栢下淳:官能評価による特別用途食品えん下困難者用食品許可基準(案)の検証,日摂食嚥下リハ会誌, 14, 17-26, 2010.
・山縣誉志江,金井舞,意賀美典子,栢下淳:ゲル状の嚥下調整食に適した離水測定方法の検証, 嚥下医学, 5, 98-107, 2016.

③嚥下調整食分類2013(日本摂食嚥下リハビリテーション学会)

日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類2013に関する検討を行っています。「食事」と「とろみ」が示されていますが、このうち、客観的数値が示されているとろみの測定方法および粘度範囲の検討を行ってきました。より適切なとろみの簡易評価方法についても検討しています。

・Yamagata Y, Izumi A, Egashira F, Miyamoto K, Kayashita J: Determination of a Suitable Shear Rate for Thickened Liquids Easy for the Elderly to Swallow, Food Sci Technol Res., 18, 363-369, 2012.
・宇山理沙,藤谷順子,大越ひろ,栢下淳,前田広士,小城明子,高橋浩二,藤島一郎:とろみ液の官能評価による分類 粘度およびLine Spread Test値の範囲設定, 日摂食嚥下リハ会誌, 18, 13-21, 2014.
・山縣誉志江,栢下淳:性質の異なるとろみを使用した学会分類2013(とろみ)の検証, 日摂食嚥下リハ会誌, 19, 109-116,2015.
・Watanabe E, Yamagata Y, Kogirima M, Miyamoto KI, Kayashita J:Development of a simple and objective evaluation method for thickened liquids using funnels. Journal of texture studies, 48, 198-204, 2017
・山縣誉志江, 與儀沙織, 栢下淳:官能評価による学会分類2013(とろみ)の粘度範囲の妥当性, 日摂食嚥下リハ会誌, 21(3), in press, 2017.
・Watanabe E, Yamagata Y, Fujitani J, Fujishima I, Takahashi K, Uyama R, Ogoshi H, Kojo A, Maeda H, Ueda K, Kayashita J : The Criteria of Thickened Liquid for Dysphagia Management in Japan, Dysphagia, DOI: 10.1007/s00455-017-9827-x., 2017.

④スマイルケア食(農林水産省)

介護食品の基準であるスマイルケア食の区分の客観的評価方法について検討しています。

⑤IDDSI Framework(IDDSI:International Dysphagia Diet Standardisation Initiative)

世界の嚥下調整食の基準であるIDDSI Frameworkについて検討しています。とろみの簡易測定方法であるシリンジ法について、現在検討中です。

・Cichero JA, Lam P, Steele CM, Hanson B, Chen J, Dantas RO, Duivestein J, Kayashita J, Lecko C, Murray J, Pillay M, Riquelme L, Stanschus S : Development of International Terminology and Definitions for Texture-Modified Foods and Thickened Fluids Used in Dysphagia Management: The IDDSI Framework., Dysphagia, 32, 293-314, 2016.
・Yokote Y, Takata N, Yamagata Y, Kayashita J: A Comparison of Viscosity Classifications Between the Japanese Dysphagia Diet 2013 Criteria and the International Dysphagia Diet Standardisation Initiative, EC Nutrition, 10: 185-194, 2017.

■嚥下造影検査食の基準作成

患者さんにどのレベルの食事が提供できるかを評価する嚥下造影検査(VF)における検査食の物性検討をしています。

・山縣誉志江,栢下淳:段階的な嚥下食の物性に適した嚥下造影検査食の検討, 日摂食嚥下リハ会誌, 12,31-39,2008.
・山縣誉志江,栢下淳:段階的な嚥下機能評価のための検査食の検討, 栄養-評価と治療,25, 519-523, 2008.

■嚥下調整食の提供に関する研究

嚥下調整食としての提供が難しいお粥やお肉などの物性研究により、安全で美味しい食事を提供するための検討をしています。

・野原舞,栢下淳:咀嚼・嚥下障害者に提供する全粥の物性変化の抑制について, 日摂食嚥下リハ会誌, 14,145-154,2010.
・佐野淳也,中根綾子,高島真穂,戸原玄,武藤徳男,小野武也,栢下淳:油脂の添加が嚥下調整食の摂取しやすさに及ぼす影響, 老年歯学,31,58-65,2016.

■嚥下障害のスクリーニング

嚥下障害の有無や、どのレベルの食事を提供できるかなどの評価ツールとして、EAT-10や舌圧について検討しています。

・渡邉光子,沖田啓子,佐藤新介,瀧本泰生,岡本隆嗣,栢下淳:嚥下スクリーニング質問紙EAT-10暫定版の有用性の検討, 日摂食嚥下リハ会誌, 18, 30-36, 2014.
・若林 秀隆, 栢下 淳:摂食嚥下障害スクリーニング質問紙票EAT-10の日本語版作成と信頼性・妥当性の検証, 静脈経腸栄養, 29, 871-876, 2014.
・田中陽子,中野優子,横尾円,武田芳恵,山田香,栢下淳:入院患者および高齢者福祉施設入所者を対象とした食事形態と舌圧・握力および歩行能力の関連について, 日摂食嚥下リハ会誌, 19, 52-62,2015.

■国際連携

海外の施設等と連携し、嚥下調整食に関する研究・普及を行っています。現在、マタロ病院(スペイン)、中山大学(中国)、台湾大学(台湾)と共同研究を行っています。中国語のページはこちら

■その他の研究

栄養剤の半固形化に関する検討を行っています。また、在宅における摂食嚥下障害、サルコペニアと摂食嚥下障害、認知症と摂食嚥下障害などの研究も進めています。

・山賀華奈子,合田文則,河本彩,土屋奈穂子,小川紗扶里,河野友美,山縣誉志江,栢下淳:半固形化経腸栄養剤の物性測定方法についての検討,静脈経腸栄養,26,1247-1253,2011.
・瀬尾洋介,栢下淳,合田文則:注入デバイスや手技の違いによる胃瘻からの半固形化栄養剤注入時の介護負担の検討, 在宅医療と内視鏡治療,17,8-13, 2013.

 

研究室を希望される方へ

栢下研究室では、さらに発展した研究を行うため大学院生を募集しています。大学院について詳しく知りたい方は、下記の連絡先へお問い合わせ下さい。 また、入学志望者は、入学願書提出に先立ち、事前に必ず研究室責任者(栢下淳)までご相談下さい。当研究室の研究内容に興味を抱いて志望される方を、心よりお待ちしています。

募集要項等 入試に関する情報はこちら

県立広島大学大学院 総合学術研究科
人間文化学専攻 栄養科学研究分野
栢下 淳

〒734-8558 広島県広島市南区宇品東1-1-71
TEL&FAX:082-251-9790(研究室直通)
E-mail:kayashita@pu-hiroshima.ac.jp

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